薫くみこ/ 作 コロボックル/ 絵 ポプラ社 /2004年10月発行
誰もがサンタクロースを待ち侘びているとは限りません。それでも、年の瀬に思いがけない幸運が訪れると、つい「サンタさんの贈り物だ!」と歓喜してしまいます。
それは何歳になっても同じです。
孤独な幽霊少年と、いつもお留守番の女の子の素敵なクリスマスストーリー「サンタさんにあっちゃった」をご紹介します。
『サンタさんにあっちゃった』の大まかなあらすじ
海風の吹く町はずれの崖の上の古い洋館にサンタクロースの訪問を断る貼り紙がしてあります。
どんな理由があるのでしょう?そう思い、読んでみたくなりました。
貼り紙をしたのは、10歳の男の子の幽霊
なぜ貼り紙をしたかというと……幽霊になってからずっとプレゼントをもらっていないからです。
さすがのサンタクロースも幽霊にはプレゼントできない……のでしょうか?
大まかなあらすじ①
そこへ引っ越してきたのは10歳の女の子とそのお母さん。
女の子のお母さんはレストランで仕事をしているので、クリスマスの夜に女の子はいつもひとりぼっち。
女の子は毎年「お母さんといたい」サンタさんにお願いしていました。
けれども、クリスマスになるとお母さんの勤めるレストランは大忙しで女の子の願いが叶えられることはありません。
クリスマスの夜、街の賑わいを余所に新しい住居である洋館の屋根の上に上る女の子。
雪玉を握りしめてそこら中に投げ散らします。
どうやらこの女の子もサンタクロースを歓迎していないような雰囲気です。
大まかなあらすじ②
当然かもしれませんね。何しろクリスマスの夜に世界中の子供たちの願いを叶えてくれるはずなのに「お母さんと一緒に過ごしたい」というささやかな夢すら、ずっと叶えてもらえないのですから。
一方の幽霊の男の子もそうです。
サンタクロースには幽霊が見えないのか、それとも死んだ人間には興味がないのか、男の子の願いはずっと叶えられていません。
投げつけた雪玉が、古い洋館の煙突の貼り紙に命中したところから物語が動き始めます。
続きは最寄りの書店……と思って紹介したのですが、発行元に問い合わせたところ、在庫がないので書店注文はできないとのことでした。こうしたクリスマス絵本はロングセラーなので復刊を待ちたいものです。
楽天やAmazonでもいつまであるかわかりません。お早目のご注文が望ましいでしょう。
サンタさんはいったい何処へ行っちゃったんでしょう?
絶え間ない増税と物価上昇で経済格差が拡がりました。
いつの間にか外国人が増え、インバウンド景気などと報じられています。
自国の貧困ぶりを呑み込んで海外富裕層を煽て上げ、あの手この手で旅行者の気を惹きます。
外国人への規制を緩める一方で闇バイトに手を染めざるを得ない日本の若者たち。
コロナ前までは、闇犯罪に手を染めるのは外国人労働者が多かったようですが、今では日本人の、しかも大学生や高校生もいるというから驚きです。
日本人はすっかり貧しくなってしまったようです。
何故こうなってしまったのでしょう?
サンタさん、教えてもらえませんか?
今現在「良い子」でないとしても、あなたのプレゼントをもらったら「良い子」になる子がたくさんいるかも知れませんよ。
あなたは誰にとっての「良い子」ですか?
サンタさんは、今まで何百年もクリスマスの夜にプレゼントを送り届けてきました。この絵本の幽霊少年や女の子のようにすべての子供たちに行き渡ったかどうかはわかりませんが、それでも毎年徹夜で配ってきました。
プレゼントを貰った「良い子」たちは「良い大人」になり「良い人」として生きられたでしょうか?
だとしたら、どうして戦争や暗殺、イジメ・強盗殺人・汚職や癒着がなくならいのでしょう。
プレゼントを貰うときだけ「良い子」の振りをして、プレゼントを貰うために誰かをおだてたり何かにすり寄ったり平気で嘘をついたりしていたら、ずっとそんな癖がついて回りそうです。
気を付けたいですね。
孤独な幽霊少年と留守番ばかりの女の子は、歯を食いしばって頑張っています。
サンタさんにあっちゃった / 薫 くみこ, colobockle / ポプラ社
作者紹介/薫くみこ・コロボックル
薫くみこ
東京都生まれ。女子美術大学デザイン科卒業。高島屋の広告デザイナーを経て児童文学作家へ。「十二歳の合い言葉」で第12回日本児童文芸化協会新人賞受賞。
主な作品
十二歳の合い言葉 / 薫 くみこ / ポプラ社 [ペーパーバック]【メール便送料無料】【最短翌日配達対応】
世界一すてきなおくりもの 絵本・いつでもいっしょ5/薫くみこ(著者),えんどうひとみ(その他)
コロボックル(たちもとみちこ)
1976年石川県生まれ。大阪芸術大学デザイン学科卒業。画家・絵本作家・グラフィックデザイナー・イラストレーター・クラフトアーティストとして活動。
主な作品