パセリともみの木 ルドウィッヒ・ベーメルマンス(1898~1962)/ 訳 ふじみみさを
2007年4月10日初版発行あすなろ書房
対象年齢:小学校低学年~
サンタクロースやクリスマス関係の絵本は人気があります。
そしてちょっと視点を変えるとトナカイや「もみの木」が主役になることも。
トナカイではなくシカという設定も現実的でいろいろ考えさせられるのが「パセリともみの木」
木を主役とした絵本を探しているときに出逢いました。
崖っぷちに立つ老いたもみの木
アンデルセンの「もみの木」は、もみの木の独白的ストーリなのですが、こちらは崖っぷちに立つ老いたもみの木とシカとの友情物語です。
モミの木というとクリスマスツリーに象徴されるきれいな円錐形の木がイメージされます。
しかし、この本の主役は崖っぷちに芽生えゴツゴツと育ってしまったもみの木。
その枝ぶりはまるでシカの角のようです。
パセリとはシカの名前
いびつなモミの木が大きくなって枝葉を広げていくと緑のテントとなり、そこはシカたちの憩いの場所となります。
その中にとりわけパセリが大好物のシカが一頭いました。
いつしかパセリと呼ばれるようになり、老いたモミの木と仲良くなっていきます。
老いたモミの木とシカとの友情ストーリー
クリスマスは人のためだけにあるのではないと思える一冊です。
自然界のクリスマスストーリーがベーメルマンスの力強いタッチと繊細な色遣いによって表現されています。
エンディングで、シカが双眼鏡をかけている絵には思わず笑みがこぼれてしまいました。
山野草の名入り挿絵もあり、作者がいかに自然を愛しているかが伝わり楽しみ方も多様です。
クリスマスだからと身構えず、自然体で過ごせそうな珠玉の作品です。
どうぞ最寄りの書店か下欄にて購入をご検討ください。
ベーメルマンスの他の作品
作者のベーメルマンスはオーストリアから単身アメリカに渡り、部屋中に故郷の絵を描いていたそうです。
その絵がたまたま編集者の目に留まり絵本作家デビュー。
以来、クリスマス作品を中心に多くの作品を発表しています。
げんきなマドレーヌ (世界傑作絵本シリーズ) [ ルドウィッヒ・ベーメルマンス ]
マドレーヌといぬ (世界傑作絵本シリーズ) [ ルドウィッヒ・ベーメルマンス ]