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サンタがひと晩でプレゼントできる理由「サン・サン・サンタひみつきち」

おすすめ読み聞かせ絵本
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かこさとし/作・画 偕成社 1986年10月初版発行

2019年9月に白泉社より新装されて復刊

対象読者:3歳~

サンタクロースは、なぜひと晩で世界中の子供たちにプレゼントを送り届けられるのか?

子供のころから、ずっと不思議に思っていました。

この絵本を読んで謎が解けました。

さすがは「かこさとし」 

ほんわかとした絵とわかりやすく秩序だった展開の絵本です。

この本が刊行された1986年、日本はバブル真っ盛りでした。

そして新型コロナが世界を席巻する少し前の2019年9月に白泉社より復刊されています。

時代背景などを鑑みながら読むと面白さも倍増、出版の必然性を感じます

シンプルで明快な絵と分かりやすい内容、小さなお子様の想像力を膨らませるには持ってこいの絵本でしょう。

さまざまな観点から解説させていただきます。

『サン・サン・サンタヒミツキチ』の大まかなあらすじ

数多くの科学絵本を刊行してきた「かこさとし」による唯一のクリスマス絵本です。

北極の氷の下に秘密の基地とロケット発射場があるという設定。どうやらサンタクロースと関係がありそうですが……と、ページを捲っていくと「かこさとし」らしい展開で答えが解き明かされていきます。

 陰謀と紛争に塗れたきな臭い大人の世界とはまったく違う、世界の子供たちの未来のための秘密基地。北極の氷の下には、世界中の子供たちに届けるためのクリスマスプレゼント製造工場があり、そこで働く人たちが12月下旬のその夜、赤いマントを羽織って白い髭をたくわえてトナカイロケットで飛び立ちます。

もちろん世界の子どもの誰一人もらさない覚悟で!

工業博士でもある「かこさとし」らしい発想で、わかりやすく解説しながら物語が進みます。宇宙衛星からも気付かれないよう白いコンテナで運ばれるオモチャの原料たち。オートメーションと手作業の分担による効率化された工場の風景。真摯に作業に取り組む工場の人たちと昭和レトロを感じさせるオモチャの数々。

魅力的な絵とありそうな現実感で広がる「かこさとし」ワールド。スケールの大きな作品です。

続きは最寄りの書店かこちらで!

サン・サン・サンタひみつきち

『サン・サン・サンタひみつきち』が2019年に復刊された理由

北極の氷の下に誰も知らない秘密基地があるという設定。

地球温暖化が叫ばれる昨今、北極の氷の下に工場があったなんて、そりゃ北極の氷が解けるのも無理はないなぁ、と思う方もいるかも知れません。でも、そもそもサンタクロースは寒いところからやってくるため、舞台を北に設定するのが望ましいのです。

北国には北国らしい過ごし方があり、ほとんどの住居が防寒断熱対策を徹底しています。記録によるとサンタクロースは紀元4世紀頃から世界中の子供たちにプレゼントを配っていたわけですから、すでにクリスマスプレゼント製造工場はかれこれ1600年以上操業していることになります。その間ずっと、シロクマに襲われることもなく宇宙衛星からも発見されなかったのは、防音断熱対策は完璧で工場や住居から生ゴミはもちろん、熱や煙も洩れることはなかったからだろうと推測されます。

むしろ、世界中の廃棄物を再生している点に注目すべきでしょう。おそらく秘密工場は一切の廃棄物を出さないオモチャ生産システムを確立しているのです。しかも紀元4世紀からずっと。

まったくゴミを出さずにモノを創り出すこの秘密基地のシステムは、21世紀の今こそ求められていのるのではないでしょうか?

これが2019年に復刊された理由のような気がします。

そして12月のその日、男たちは……

この物語は、大量生産大量消費が当たり前だった日本の昭和高度経済成長の頂点とも言うべき1980年代のバブル期に創られました。サンタの秘密工場が廃棄物を利用していたことは大量消費と大量廃棄への警告だったのかも知れません。大量消費は令和の時代になっても相変わらずですが、リサイクル技術は驚くほど向上し、日本国内だけでもサンタの秘密工場のようなリサイクル工場があちこちに造られて稼働しています。

復刊された2019年の暮れには新型コロナが流行し始め、2020年には緊急事態宣言などにより外出できない日が幾日も続きました。

運動会や学習発表会、あれほど楽しみにしていた修学旅行も行けなかった子どもたちが、どれほどサンタクロースからのプレゼントを待ったことでしょう。

なぜか相撲やオリンピックは開催されました。

現実世界は差別だらけですが、サンタクロースは差別しません。

サンタクロースは、必ず世界中の子どもたちへプレゼントを送り届けるのです。

作者紹介/かこさとし

1926年福井県生まれ 東京大学工学部応用化学科卒業 工学博士

1963年サンケイ児童出版文化賞大賞 1969年児童福祉文化奨励賞 

1975年日本エッセイストクラブ賞 久留島武彦文化賞

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