作画: そが まい
出版社: 小峰書店
発行日:2008年11月15日
対象年齢:3歳~
クリスマスの過ごし方は人も動物もそれぞれ。ウキウキして何かの幸運を期待してしまうものです。オオカミさんも例に漏れないようで……。
雪に覆われた冬真っ盛りの夜、温かみのある思いがけない幸運に出逢うことこそが、サンタクロースからの贈り物。
チャールズ・ディケンズの名作「クリスマス・キャロル」を彷彿とさせる温もりの絵本「オオカミのクリスマス」をご紹介します。
『オオカミのクリスマス』の大まかなあらすじ
何だかダンディーなオオカミです。
ハンフリー・ボガードやアル・パチーノみたいにコートのポッケに手を突っ込んだまま横目でにらみを利かしています。おそらく世界一強いと思っているかも知れないオオカミが、いつものように町に繰り出してひと吠え。
いつもだったら慌てて逃げ惑う町の人たちが、その晩に限って誰一人外には出ていません。
なぜならば、その夜はみんなにとって大切なクリスマス・イヴだからです。みんな家の中で、家族や友人知人と楽しそうにお祝いをしています。
「ちぇっ!」と吐き捨てるオオカミ。
町の外れで「ウオオーン‼」と叫ぶと……。
ここからが面白いところですので、続きは実際に手に取ってお読みすることをおすすめします。きっと、お子さま共々ほんわかとした気持ちになれるでしょう。
どうぞこちらを押下してみてくださいませ。
本当は重いテーマなのに、ひときわ明るいクリスマス絵本
「クリスマス・キャロル」をご存知の方は多いでしょう。19世紀半ばに刊行されたディケンズの中編小説です。金儲けのためだけに生きてきた守銭奴のスクルージというお爺さんが、クリスマスの夜に時空を超えた超常体験をすることで考え方が変わる物語です。クリスマスのお話としてはもっとも読み継がれている本の一冊で、舞台や映画など毎年のようにどこかで上演・上映されています。
何度読んでも観ても、涙のあふれてくる物語です。
Disney’s クリスマス・キャロル [ ジム・キャリー ]
ア・クリスマス・キャロル [ マジェスティカ ]
『オオカミのクリスマス』を読み終えたとき「クリスマス・キャロル」を思い出しました。比較評価の中を生き抜いてきた自尊心の塊のような主人公が心変わりしていくところが似ていると思ったからです。けっこう重いテーマなのですが、『オオカミのクリスマス』では、黄色と紫を効果的に使った明るい色彩とダイナミックな絵柄でぐいぐいと物語が進みます。そして、晴れやかな気持ちで本を閉じました。
真冬に暖かくしすぎて、ちょいと冷ましたいときのトロピカルなフルーツ盛り合わせのような絵本です。一家に一冊あると程よい室温が保たれるのではないでしょうか。
他にもあったオオカミのクリスマスの絵本
オオカミのクリスマスなんて想像したことなかったのですが、絵本作家の創造力は素晴らしいものです。
日本が世界に誇る宮西達也とフランスの作家ティエリー・デデューの作品を紹介します。詳しくはクリックを!
クリスマスにオオカミは / 原タイトル:Un Noel pour Le Loup / ティエリー・デデュー/文と絵 大野博人/訳
作者紹介/そが まい
岐阜県生まれ。
三重大学教育学部美術家卒業。高校教員を経て絵本作家へ。イラストや挿絵も手掛ける。