作: マチュー・シルヴァンデール
画:オードレイ・プシエ
出版社: 徳間書店
発行:2013年10月11日
対象年齢:4歳~
ヤシの木とクリスマスという、一風変わったシチュエイションに魅かれて手に取りました。
私も南国で生まれました。街路樹はヤシの木はかガジュマル、植え込みにはハイビスカスが咲き誇り、冬になっても雪とはほぼ無縁の土地です。
テレビや雑誌などで目にする雪に覆われた白銀の世界というのに憧れ、北へ向かって旅に出ました。この絵本のヤシの木のように。
そして今、北海道に住んでいます。憧れていた白銀の世界と、四季折々の変化を堪能しています。
「クリスマスをみにいったヤシの木」の絵本、実感を込めて紹介します。
『クリスマスをみにいったヤシの木』の大まかなあらすじ
砂漠に住む「ココ」という名の小さなヤシの木が主人公です。小さくても根を生やしているため移動できないココのいちばんの楽しみは、年老いたコウノトリの旅先での話。中でも、ある年の冬にたまたま帰り損ねたコウノトリが見たというクリスマスの話が大のお気に入りです。
憧れが募ったココはある日、クリスマスを観に行くことを決心します。
ココは自分の小さな根っこを引き抜き移動を開始。
この辺りは、自分が故郷を後にした日のことを思い出し、ぐっときました。
海を渡り、向こうの岸に上陸したココは、立派なヤシの木たちに出逢います。
ところが、立派なヤシの木たちに蔑まれ警察に通報され……。
続きはどうぞお手元で……!
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クリスマスとは何?
クリスマスとは何でしょう?
イメージとしてはほんわかと温かい感じ、そして年齢と共に薄れてはいきますが何かを期待するワクワク感もあります。とにかく温かく、どんな些細なことも嬉しくなる日ではないでしょうか。
その由来はイエス・キリストの誕生日と思っている方が多いかも知れませんが、あくまで降誕を記念する日とのことです。実際、イエス・キリストがいつ生まれたかは誰にもわかりませんから。
クリスマスの日付が12月25日になったのは紀元4世紀から。ローマ暦の冬至にあたり、春分の日となる3月25日の受胎告知からちょうど9ヵ月になるためです。しかし、中には旧ユリウス暦の12月25日(グレゴリオ暦の1月7日)に祝うキリスト教徒もいます。
つまるところ、イエス・キリストの正確な誕生日を知るより、神様が人類の罪を償うために人の姿でこの世に現れたことを信じて、厳かに祝うほうが望ましいようです。
『クリスマスをみにいったヤシの木』のラストでクリスマスについてヤシの木がモミの木に「クリスマスって何」と問いかけます。ここで答えを語るわけにはいきませんが、誰しもの日常にさりげなく存在するものかも知れません。詳しくは実際にお手元で!
クリスマスをみにいったヤシの木 [ マチュー・シルヴァンデール ]
旅をする木/星野道夫
著者:星野道夫
発行所:文藝春秋
発行日:1995年8月15日
1995年からのロングセラー、アラスカを愛した写真家、星野道夫のエッセイ集です。飾らない詩的な言葉でつづられる文章は、彼自身の撮影する写真とまったく同じで、情感たっぷりに心に染み入ってきます。
星野道夫の「旅をする木」のタイトルはウィリアム・プルーイット著「極北の動物誌」の第一章から着想を得たといいます。この「旅をする木」は「クリスマスをみにいったヤシの木」とは違い、種子として旅をします。イスカという鳥がついばんだトウヒの種がさまざまな偶然に導かれて極北のツンドラ地帯で芽生える物語です。やがて大木となったトウヒは、木のないツンドラのランドマークとなり、キツネのマーキングスポットとなります。ある日、キツネの足跡を見つけたエスキモーが罠を仕掛けて……。
作者紹介/マチュー・シルヴァンデール オードレイ・プシエ
マチュー・シルヴァンデール
1969年生まれ フランストゥールーズ在住。地震学者 イラストレーターの姉の絵本に文章を書いたことから絵本に関わるようになる。「クリスマスをみにいったヤシの木」は庭にヤシの木を植樹したときに思いついたという。
オードレイ・プシエ
1978年ブルターニュ生まれ。国立高等美術学校卒。フランスでは20冊以上の絵本を出版。邦訳は「クリスマスをみにいったヤシの木」が初めて。