探索带给世界和谐的日本精神——“大和言叶”的魅力
In Japan, there exists a special phenomenon known as “Yamato-kotoba,” which resonates deeply within our hearts. Interestingly, this “Yamato-kotoba” does not possess a specific writing system; it gracefully emerges and fades away, flowing and showering down, having been passed down through generations.
The Japanese people are a unique ethnic group capable of expressing a multitude of languages within a single sentence. Few cultures can embody the diversity that is so urgently needed today as beautifully as the Japanese do. In this article, we will delve into the characteristics and allure of Yamato-kotoba.
在日本,存在一种名为“大和言叶”的特殊现象,深深地渗透在我们的心中。奇妙的是,这种“大和言叶”并没有具体的文字体系;它优雅地浮现又消失,流动着、倾泻而下,代代相传。
日本人是一个独特的民族,能够在一句话中共存多种语言。能够如此美丽地体现当今急需的多样性,几乎没有其他民族能做到。在本文中,我们将深入探讨大和言叶的特点和魅力。
日本語には、私たちの心に深く染み入る「大和言葉」という特別な存在があります。不思議なもので、この「大和言葉」は具体的な文字体系を持つものではなく、まさに「大和言葉」そのものとして、たおやかに浮かんでは消え、流れては降り注ぎ、受け継がれてきました。
日本人は多種多様な言語を一つの文章に共存させて表現できる稀有な民族です。今まさに求められている多様性を、これほど見事に具現化できる民族は少ないでしょう。本記事では、大和言葉の特徴やその魅力について詳しく掘り下げます。
大和言葉とは何か?
「大和言葉」とは、漢語や外来語が日本に伝わる以前から、日本で使われてきた固有の言葉を指します。別名「和語(わご)」とも呼ばれ、その起源は文字がまだ存在しなかった奈良時代以前にまで遡ります。
和歌や古典作品でよく使われる雅語(みやびご)を指すこともありますが、基本理念として日本人の生活や自然観、感性に根ざした言葉であり、その響きや表現には日本人ならではの思慮深い美意識の込められた言葉です。
例えば、「さようなら」や「ありがとう」といった言葉は大和言葉ですが、「感謝」や「挨拶(あいさつ)」は中国から伝わった漢語です。このように、同じ意味を持つ言葉でも、その成り立ちや文字表記によって雰囲気やニュアンスが異なります。
大和言葉の特徴

大和言葉の主な特徴として、以下の3つが挙げられます。
- 響きがやわらかい
- 豊かな自然や感情を表現
- 日常生活に溶け込んでいる
それぞれについて解説します。
響きがやわらかい
大和言葉の最大の特徴は、その響きの柔らかさです。発音が優しく、口に出したときに心地よさを感じます。古代に使われ、言葉一つひとつにエネルギーが宿っていたという神代文字の流れを汲むのではないかと推測されます。
たとえば「おおらか(穏やかで心が広い)」や「うららか(暖かくてのどか)」とは、その響きだけで穏やかな情景や気持ちを思い浮かべることができるでしょう。
豊かな自然や感情を表現
日本人は古来より、四季の移ろいや自然の美しさを大切にし、自然界と共存してきました。そのため、大和言葉には自然を表現する美しい言葉が数多く存在します。
「こもれび」は樹々の枝葉から漏れ差す太陽光を表し、「風光る(かぜひかる)」は春の風がきらめく様子を指します。また、人間の感情を繊細に表現する言葉も豊富です。「袖の露(そでのつゆ)」は涙を流すこと「恋蛍(こいぼたる)」は恋に焦がれる気持ちを表します。
日常生活にも溶け込んでいる
大和言葉は、決して厳粛で古臭いものではありません。雅で優しい表現は自然と受け継がれ、デジタル用語全盛の現代においても、いやIT時代であればこそ必要とされるかのように、日常生活に溶け込んでいます。
たとえば「しばしお待ちを(少し待ってください)」「お心づくし(誠意を込めること)」などは、ビジネスシーンでも多用され、AIツールでさえ「お心遣いありがとうございます」と、血の通ったお礼を言うことがあります。
大和言葉は、多民族の共存による調和はもちろん、人とAIの共生社会のさらなる発展のために欠かせない言語といえるでしょう。
大和言葉と漢語・外来語との違い

日本語は大和言葉以外にも漢語や外来語があり、それぞれ平仮名・漢字・カタカナで表記されます。こうした3種の文字を使いこなすようになったのは、歴史的背景はもちろん、寛容で柔軟な国民性が大きかったのではないかと考えられます。
ここでは、漢語と外来語について簡潔に説明します。
漢語
漢字は4世紀から5世紀頃、中国や朝鮮半島を経由して、儒教や仏教文化と共に日本に伝わったとされています。主に音読みされ、「開始」や「感謝」「違法」など、的確に意味を伝えられる点が特徴です。効率性に富み、ビジネスにおける報連相(報告・連絡・相談)で重宝されます。
外来語
主にカタカナで表記される外国由来の言葉です。「スタート」や「プロジェクト」のように、新しい概念や技術、海外の言語を日本人の耳でカタカナ化して表現したものを指します。
一方、大和言葉は平仮名で表記されることが多く、その響きは柔らかく美しいものが多いです。「開始」や「スタート」に対して、「はじめる」という大和言葉には、どこか温もりを感じることができるでしょう。
日本語の平仮名・漢字・カタカナについては、下記記事でも解説しています。ご参照ください。
大和言葉の例とその美しさ
以下に、大和言葉の具体例を挙げて、意味をひと通り解説します。
しかし、そもそも大和言葉は、周囲の空気を取り込むような微妙な表現力を持ち、読み手の想像力を換気させる効果があります。したがって、解説そのものを鵜呑みにすることなく、その美しい響きとご自身の経験からイメージを膨らませていただけると幸いです。
自然を表す大和言葉
大和言葉 | 大まかな意味 |
つむじかぜ | 渦を巻いて吹く風 |
たなびく | 雲や霧などが細長い形状で浮かんでいる様子 |
さざなみ | 穏やかな水面の小さな波 |
やまわらう | 春・春になって山の草木が芽吹くこと |
みずぬるむ | 春・春になって水が温かくなること |
ゆみはりづき | 三日月・上弦の月・下弦の月 |
もがりぶえ | 冬の激しい風が竹垣や柵 (さく) ・窓の隙間などに吹きつけて発する笛のような音・冬の季語 |
あかとき | 夜半から夜明けの薄暗い時間帯・夜明け前 |
たそがれ | 夕方 |
わくらば | 病葉と書く・病に冒されて変色した葉・夏の季語 |
感情や情景を表す大和言葉
大和言葉 | 意味 |
いとをかし | 趣があって美しいさま |
たおやか | しなやかで上品なさま |
たまゆら | ほんの一瞬 |
たまさか | 偶然 |
あだやおろそかに | 後に否定をつなげて大切にするの意味で用いる |
はばかる | 遠慮する |
みにあまる | 自分にはもったいない |
やるせない | 気持ちのやり場なない・どうにもならない |
もっけのさいわい | 幸運・ラッキー |
めくじらをたてる | 他人の些細なことを取り立てて咎める・ムキになって怒る |
高まる大和言葉の再評価

近年、大和言葉の良さが再び見直されています。漢語や外来語が増えて効率性と意味優先の堅苦しい雰囲気が蔓延してきた現状。そして2019年以降、加速化された全体主義的な流れへの抵抗感もあるのでしょう。
大和言葉は、耳で聴くというより心に語り掛ける言葉として緊張を解きほぐし、堅苦しい雰囲気を和らげてくれます。立ち止まり俯瞰する余裕を与えてくれる言葉です。
読み手の立ち位置や経験によってさまざまな解釈が可能であり、一つの言葉として周囲の空気感を取り込む寛容さを持っています。これが、悪い言い方をすれば同調圧力にもつながっているのかも知れません。
空気を取り込み、空気を感じ取れるのは、日本人特有の繊細な感性ともいえます。同調するにせよ、しないにせよ、方向性を誤らないよう気を付けたいものです。
他者とのコミュニケーションや自然との関りにおいて、絶妙の距離感で配慮する「大和言葉」の響きと繊細な空気が、世界に平和秩序をもたらす日はそう遠くないでしょう。