大和语言五十音字典①
Yamato Words 50-Sound Dictionary in Alphabetical Order (Part 1)
知れば知るほど深い日本語。表現の多様性はもちろん、一音一音に意味があり神様が宿る言霊であるとは……何て素敵な国に生まれ住んでいるのだろうと、心から感謝の日々です。
ここでは、日本語の中でもとりわけ美しい響きを持つ大和言葉の50音別の意味をあいうえお順に紹介します。どうぞ、ご自分や家族、親しい方の名前を当てはめてみてください。きっと、お名前の美しさに気付き、一段と胸を張って生きる後押しとなることでしょう。
越了解日本语,越感到其深奥。它的表达多样性无疑,每一个音节都有意义,都是蕴含神灵的言灵……我真心感激,生活在这样一个美丽的国度。
在这里,我将按五十音顺序介绍日本语中尤为优美的大和言叶的每个音节的意义。请您尝试将自己或家人、亲友的名字代入其中。您一定会发现名字的美丽,从而更加自信地生活。
The more I learn about the Japanese language, the deeper it seems. Its diversity of expression is remarkable, and each sound has meaning, embodying the spirit of the gods… I am truly grateful to live in such a wonderful country.
Here, I will introduce the meanings of the beautiful sounds of Yamato words in alphabetical order. Please try applying your own name or the names of your family and close friends. You will surely notice the beauty of those names, which will encourage you to live with even more pride.
大和言葉の定義
大和言葉(やまとことば)とは、古代日本で使われていた日本語の語彙や表現で、主に漢語や外来語が入る前に形成された言葉です。日本人の身体感覚として深く浸透しているため、古代から現代社会の日常生活、擬音語や擬態語、名前などにも大いに活用されています。
自然や感情を繊細に表す特徴があり、華やかで美しい響きが現代社会の歪みへの潤滑剤として注目されています。
大和言葉ア行の心得

ア行は母音と呼ばれ、他の行と異なり音がそのまま声となって耳に届きます。たとえば「あ」段は口が大きく開き、すべての始まりの意味を持ちます。明るい・新しい、開くといったイメージです。以下、あ段を含めたア行の意味と例を表示します。
※なお、例の中には大和言葉でない言葉も含まれます。また、イメージと例が必ずしも一致しないことをご了承ください。
イメージ | 例 | 口の開き方 | |
あ | すべての根源はじまり光・明るいはるか彼方天(あめ・あま) | ありあけ・あかつきあけぼの・あまねく暁・赤富士・朝まだきあさってのほう・あたら | もっとも大きく口が開く ※天は日本神話の最高位の神、天照大神を指す |
い | 勇ましさ活力エネルギー生命力誕生 | いざ・いさむ・いつくいきいき・いきる・いのち粋・いなせ十六夜・居待月いやいけに(弥日異に) | 横に広げて少し鋭くなる |
う | 守り神生む温かみはかなさ | うぶすな(産土)うづき(卯月)・うつろうたかた(泡沫)うそうそういじん(初陣) | 口が閉じたような状態になる |
え | 柔らかさ選び取る思いやり女性らしさ気品 | えみ(笑み)える(選る)えんげつ(偃月)鴛鴦の契り | 「え」段以外のどの音にも変えられるような口の状態 |
お | 発見大きな器救いの心丁寧さ | おさ(長)・折りしも折り合い・おもむろおおい・おおきい・おおらかおさむ・面映ゆい・朧月接頭語としての「お」(お○○) | 口の内部が大きく広がる |
大和言葉カ行の心得
カ行は硬い、強いなどのイメージがあります。
イメージ | 例 | |
か | 力に溢れる激しい勢い大胆さ目立たせる | かっかする・かんかんになる・角が立つ・かまけるかがやくかおる・かまとと・かはたれ時か○○(か弱い・か細い) |
き | きらびやか新鮮さ純粋さ・無垢お酒 | きらきら・きんきんきよらか・きらめく・きびす・着映えき(生・生糸や生そば)・きざはし・生一本おみき(御神酒) |
く | くぐもる暗さはにかみ奥ゆかしさ | くれる・くるし・くろ・くろうと・くおん・草いきれ・草紅葉雲の峰・雲となるくすり・くし(奇し) |
け | 妖しさオーラぼんやり日常 | け(怪・気・毛・卦)・削り友達もののけけだかいしもつけ晴れの日に対する卦の日 |
こ | 優しさ大切にしたい思い小粋親愛 | 子・小こだま・恋草・恋衣・恋の端・恋の淵・恋の蛍こもれび・東風(こち)こがらし・心置きなく・心置く・心劣り・心化粧 |
大和言葉サ行の心得

サ行のイメージは、繊細さ・軽やかさです。
イメージ | 例 | |
さ | 上品一瞬の輝き春 | さ(早・五・小)・朔(しんげつ)さなえ・さおとめ・さやか・さすらうさつき・さみだれさよ・さゆり・ささめゆきさとし・さながらさち・さきわう(幸わう) |
し | 静けさ心に染み入る忍ぶはっきりする | しんしん・しとしと・しみじみ・しくしく・しどけないしづく・しづか・しおしおと・しぐれるしごと・しあいしあわせ・東雲(しののめ)・四の五の言う |
す | はげしさ澄んでいる流れるありのまま | すすむ・すぐる・すこぶるすむ・すずやか・鈴を転がすすくすくす(素)・すべからく・捨て子花(彼岸花のこと) |
せ | 頼れる慌ただしい揺れる | せ(背・瀬)せかせか・せせる・せく(急く)せいらん(青嵐)せきしゅん(惜春) |
そ | 働きかける軽やか心地よさ | そよそよ・そわそわ・そそる・そそぐ・そぞろ・そぞろあめそら・そらんじる・そらね(空音)・そこはかとなくそよかぜ・そよぐ・袖にする |
大和言葉タ行の心得
タ行は堂々としているイメージ、強い説得力を感じさせます。
イメージ | 例 | |
た | 高貴馴染み深い躍動 | たかし(高・貴)・たゆたう・たまゆら・たまさか・たおやかたくみ(巧・匠)・たけし(猛し)・たえ(妙)たったった・たんたんたん |
ち | 体内をめぐる魂や霊畏怖・神々しさたくさんの | 地・血・乳・父・ちぎり・ちまたちはやぶるちかし(近・親)千 |
つ | 目覚め添える港 | つき(月・・就き・点き)つきいつる(月凍つる)つね・つく・つぐ・つなぐ・つま(妻)・つまびくつ(津)・つまびらか・つつまし・つつがなく・つぶさ |
て | マイペース絶えず変化人示す | てきぱきてんてこまい・てんやわんやて(手)照る・天花(雪)・手慣れ・手習い |
と | 突出出入り個性人 | とぐ・ともる・とこしえ・とこわか・としよういとそ・とし(利し・敏し・疾し・俊し)とわ・とおる・とむ・ともと(玄人・素人・商人)・時の花 |
大和言葉ナ行の心得

ナ行は、調和や柔らかさを感じさせます。
イメージ | 例 | |
な | 大地名前生活 | な(名・菜)なお(尚・直)まな板の真菜は肴こそが酒に合う酒肴との意味から)名に負う・なしのつぶて・なまじなりわい・なごり・なかんずく・なみだ・なく |
に | 和ますゆっくり神聖土 | に(丹・荷)にこにこ・にっこり・にぎやかにわ・につち(丹土)にい(新)・にべもない・にわか |
ぬ | 力を抜く捉えどころのない | ぬくぬく・ぬくもり・ぬっとぬるい・ぬえぬう・ぬいこ |
ね | 根性どっしり構える声 | ねる(練る・錬る・寝る)ね(根・嶺・音)ねばる寝待草・根に帰る |
の | 温かみのんびり野原 | のほほん・のびやか・のそり・のべつまくなしのり(教・規・則・法)のぞむ・のぼる・のわけ |
大和言葉ハ行の心得
ハ行は勢いと、繊細さの両方をイメージできます。
イメージ | 例 | |
は | 晴れ話し声羽 | はる(春・貼る・張る)・は(葉・刃・歯・端)ことのはは言の端から言の葉へはえる(映える・生える)・はかどる花冷え・はなむけ・はばかりながら |
ひ | 氷と火一日お日様 | ひ(日・火・陽)ひろし・ひさし・ひたむき・ひとえ・ひとしお日増しに |
ふ | ぼんやり温かみ茂る味わい | ふわふわ・ふさふさ・ふさわしい・ふくよかふるまい・ふつつか・降り月・冬ざれふみ旧り行く(ふりゆく) |
へ | 脱力拍子抜け時間 | へ(戸・辺・屁・経)へなへな・へらへらへつらう |
ほ | 炎豊優れたもの | ほむら(炎の古語)ほくち(火口)ほなか(火中)ほまれ・ほのか・ほなみ・ほころぶほだか |
大和言葉マ行の心得

マ行は本質を突いて丸いイメージです
イメージ | 例 | |
ま | 包み込むまことあるべき姿 | まんま・まさし・まさる・まもる・まなぶまほら(まほろば)・まんじり・まろやか・まれ |
み | 水若々しさ豊かさプラスイメージ | みづほ・みちる・みなもとみのる・みのり水際立つ・汀まさる水を向ける・身ごもる・身になる・身を成す |
む | 生まれる・成長する結ぶ周りと調和する | むす(生す・産す)・むずむず・むくむくおむすび・むつむ(睦む)むしおさえ・むべなるかな |
め | 心の強さ芽が出る女性的 | めきめき~めく(春めく・色めく・ときめく・ざわめく・よろめく)目もあや |
も | 優しい柔らかさおっとり燃え上がる | もこもこ・もえ(燃え・萌)もちづき・もっけの幸い・もってのほか |
大和言葉ヤ行の心得
ヤ行は安らぎや広がりを感じさせます。
イメージ | 例 | |
や | フレンドリーもっと神秘的 | やさし・やすしやおら・やにわに・やなぎごし・やぶさかでないやくも・やえがき・やちよ |
ゆ | 優雅つながり奥ゆかしさ | 悠々・ゆったり・雪の花・雪を欺く・湯浴みゆめゆめ・ゆくりなく・ゆるがせに・ゆかりゆかし |
よ | 夜節目善 | 夜這い・呼ばふ・宵の口・夜もすがら・よなべよしんば・よんどころなし・よしなに・よもやまよし(善・由・吉・好・佳・葦・喜・良) |
大和言葉ラ行の心得

ラ行は、単語の冒頭に用いられることがほとんどありません。ラ行がどのように生活に用いられてきたかを示すため、大和言葉でない語や、冒頭にない語を例示しています。何卒ご了承ください。
イメージ | 例 | |
ら | きらびやか万能謙虚 | 埒が明かないきらきら・ひらひら・つぶらなど修飾語の語尾に就く万能の語複数形を表す |
り | 刹那的異国情緒 | 凛 |
る | 活動的繁栄 | るんるん |
れ | 華麗日本人離れ | |
ろ | 温かみゆったり野原 | ろくに~・ろくでなしろうたけた(臈長けた) |
大和言葉ワ行・ンの心得
イメージ | 例 | |
わ | 海若々しさ早い | わたつみわくらばわすればな |
を | 男らしさ男女 | をびなた(帯刀)をとこ・をんな(旧仮名遣い) |
ん | 終特別 | ふわりに「ん」が入り「ふんわり」ほのりに「ん」が入り「ほんのり」 |
まとめ
本記事は、大和言葉の入り口に過ぎません。大和言葉はまだまだ深く多様性に満ちています。そもそもどこの国においても、こうしたネイティブの言語は自由で多様性に満ちたものなのではないでしょうか?
ひょんな諍いの果てにフェードアウトすることなく、そして大国も小国も関係なくうまく融合できればと願ってやみません。
大和言葉について、より深くお知りになりたい方は下記記事や諸文献もご参照くださいませ。
本サイトでも、より詳しい記事を配信していきますのでご期待ください。
世界が、多様で優美なコミュニケーションを交わし、すべての人々が平等で、そしていつまでも平和でありますように。
参考文献:人類存在と愛 やまとことばの倫理学/川井博義 北樹出版
世界でいちばん素敵な大和言葉の教室/吉田裕子 三才ブックス
やまとことば50音辞典/髙村史司 飛鳥新社
美しい日本語が話せる書ける万葉ことば/上野誠 幻冬舎
参考サイト: