作画:佐野洋子日本図書館協会選定図書
出版:講談社全国学校図書館協議会選定図書発行日: 1977年10月
発行日: 1977年10月
推定対象年齢:3歳~
こんなスケールの大きなすごい絵本が、日本人の手で描かれたことが嬉しい、というのが第一印象でした。
「100万年もしなないねこがいました」
のぶっきらぼうな一文で始まる絵本は、愛想のよくなさそうなトラ猫の描かれた表紙絵の魅力も手伝ってかどうか、初版発行から半世紀近く経っても多くのファンを惹きつけるロングセラ―となっています。
NHKの「母と子のテレビ絵本」で映像化されたり、ミュージカルや映画にもなった名作「100万回生きたねこ」
いまさら紹介するまでもないのですが、日本人作家による名作中の名作『100万回生きた猫』世界遺産にしたい絵本コレクションとしてナビゲートします。
『100万回生きたねこ』の大まかなあらすじ
100万回も死んで100万回も生き猫の物語です。100万回の生死のすべてを語るわけではありませんが、かいつまんで代表的なシーンを描いています。目力のある、見るからに強そうな立派なトラ猫です。
猫の100万人の飼い主たちは、猫が死んだときオイオイ泣きましたが、猫は一回も泣きませんでした。
何しろ自分勝手に自分のためだけに生きているから死ぬのはちっとも怖くないと嘘ぶいています。もしかしたら、また生き返るとわかっていたのかも知れません。
そんなわけで100万回、違う人と出逢って別れるのですが、やっぱり泣きません。
ところがひょんな出逢いから、死ぬのが怖くなりました。
一秒でも長く、一緒にいたいと思う相手が現れたのです。
そして、自分より大切にしたい、命に代えても守りたいと思える相手が……。
何度読んでも涙のあふれてくる物語です。
佐野洋子さんの作品には、路地裏の不良少年のような、ぶっきらぼうな繊細さを感じます。
後世に遺したい一冊です。
『100万回生きたねこ』メディア情報
NHK教育テレビ「母と子のテレビ絵本」初回放送は1991年5月3日。
1995年:大竹しのぶによる読み聞かせCD発売
ミュージカル:1989年 「100万回生きたねこ」(OSK日本歌劇団)
:1996年 「DORA 100万回生きたねこ」(沢田研二主演)
:2013年 「100万回生きたねこ」(森山未來・満島ひかり主演)
:2015年 「100万回生きたねこ」(深田恭子・成河主演)
100万回生き返ることは可能か?国内外事例紹介
今のところ不可能のようですが、生き返りに近い事例はあったようです。
ご紹介します。
海外事例
海外では83歳の女性が自宅で呼吸停止。救急車で運ばれ死亡宣告されたにもかかわらず10時間後も体温を保っていたため、再度調べたところ深い昏睡状態だったとのことでした。
その後まもなくこの女性は意識を回復しました。
南米では、76歳で亡くなった女性の通夜の最中、棺の中で動いていることが確認されました。すぐに通夜を中止し、病院で調べたところ生存を確認したとのことです。他にも棺の中で呼吸音がしたとか、死後3時間の女性が葬儀場で息をしていたとかの事例が少なくありません。
ただし、いずれも死亡確認が曖昧だったのでは?との疑念が生じます。
『100万回生きたねこ』のように、しっかり死んでしっかり生き返ったのとはちょっと違うかもしれません。
それでも、一回死亡宣告を受けてからまた生き直せるのは、けっこうな幸福感がありそうです
国内事例
日本国内でも医師の死亡診断ミスは少なからずあったようで、それを防ぐために「死後24時間以内は火葬してはならない」という法律を定めたいきさつがあります。
現在は死後処理の手際のよさも手伝って、誤診断はほぼなくなりました。というのは、死亡確認されるとすみやかに葬儀業者へ運ばれて、体液流出を防ぐための処置やドライアイスでの冷却などが施され、生き返る余地を奪ってしまうからです。
生き返ることは今のところ不可能
1960年代から始まったクライオニクス(cryonics。人体冷凍保存)による生命再生プロジェクト。
肉体の劣化がまだ少ない死体を冷凍保存する技術です。現時点ではできないようだが、精子や卵子の凍結はできているからそのうちできるのでは?の見方もあります。
問題は、冷凍保存された当人を、いつだれが解凍して蘇らせるのか、そして何をするのかです。
クローン技術が発達しているから、そっちの方が手っ取り早いとは思われますが。
映像だけなら、CGやホログラフィ―で十分でしょう。
ある番組で亡くなった偉大な歌手をCG出演させたことがありました。
視聴率を稼ぐためだったのでしょうか……。
『100万回生きたねこ』の爪の垢を煎じて飲ませてやりたいところです。
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